こども絵画・工作アトリエ ユモレスクはいよいよ2023年4月にオープンを迎えます!
(長野県松本広域圏(松本市、塩尻市、朝日村、山形村)のお子さんには通いやすい距離感だと思います )
そこで、アトリエ ユモレスクの目指したい姿や、どんな雰囲気のクラスにしていきたいのか?をこのアトリエブログでお伝えしていきたいです。
アトリエ ユモレスクのベースになっているのは、わたしのイギリス留学でのアートクラスの体験です。
わたしがイギリスで体験したアートクラスは、どれも自由でのびやか、そしてフレキシブルなクラススタイルだったのです。
「これをこどもの頃に感じてみたかった」と、心からそう思いました。
少しお時間をいただきますが、読んでいただけるとアトリエ ユモレスクの雰囲気や講師が目指しているイメージを親御さんと共有でき、「こども向けの絵画・工作教室として求めているものが違った」というすれ違いがなくなるかと思います。どうかお付き合いください。
イギリスで感じた、自分の「やってみたい」が広がる楽しさ
イギリスへ留学したのは、20代半ばです。一度社会人になってから会社を辞め、貯めたお金でロンドンへ行きました。
海外で価値観が変わった、というのはありがちな話かもしれません。わたしもそのひとりです。
わたしの場合、ロンドン芸術大学に附属する語学学校へ通いながら、芸大のクラスが短期で受講することができるという形でした。
そこではイラストレーションから絵本づくり、油絵、プラスチック工作など、興味のあるものは時間の許す限り受講していきました。
「どんなことを教えてくれるのだろう?」と、大いに期待をふくらませて参加したロンドン芸術大学のアートクラスは、当時自分が想像していたものとは全くちがいました。いい意味で、とても驚いたのです。
それまで、図工や美術の授業というものは、画材の “正しい” 使い方、”正しい” デッサンの仕方・構図の取り方を教えてくれたり、何かを描けばここはこう直した方がいいと教えてくれる、という教わり方がわたしの記憶にはありまして、
「先生は正しい方法を教えてくれる」と当時のわたしは当然のように期待していたのです。正しい方法をまるっと吸収するようなイメージです。
ロンドンのアートクラスでも(当たり前に無自覚に)そのつもりで通いはじめました。
ところが!
ロンドン芸術大学ではそうは行きませんでした。
もちろん、放置されるわけではありません。
なんと言いますか… とても自由なのです!そこで感じる空気感というものは、言葉にするのはとても難しいものですね。
たとえば。
油絵のクラスでは先生がモデルさんを用意してくれます。モデルさんをデッサンする生徒もいれば、モデルさんなんて全く無視で自分の持ち込んできた写真を元にひたすら好きなものを描く生徒もいました。
そのクラスは一応、《ポートレート(人物画)のクラス》という名目で募集され参加したクラスです。当然、みんなで一斉にモデルを描くものとばかり思っていたので驚きました。
器を描いている生徒もいるし、この切り抜きでコラージュをしたいからちょっとコピーしてくる、と外に出ていく生徒もいました。
ね、自由ですよね?
それまでのわたしの記憶にあった「学校の授業を受ける生徒とはこういうものだ」というイメージ像とははるか遠いものでした。
そしてさらにびっくりしたのは、先生はどの生徒に対しても驚くことなく、生徒がやりたいと思うことに対して「いいね。やってみなよ」と背中を押し、「それならこんな画材もあるよ、使ってみる?」と知らない方法を教えてくれたりするのです。
こうした方がいい、という指導でなく、あくまでも「別の方法もあるよ」という提案として。
もちろん、はじめは戸惑いました。
クラスに出席さえすれば、なにかが用意され、先生の手順に従って進めれば新しいことを覚えられる、とわたしは思っていたのですから。
こんなにも生徒の「こうしたい」「やってみたい」を受け入れてくれるんだ… と驚いたのです。
誤解のないようにお伝えしておくと、生徒任せで先生からの発信が何もないというわけではありません!
一律でこう、というスタイルがなく、先生によって違うので例をあげてみますね。
たとえば。
イラストレーションのクラスでは、先生が毎回新しい表現方法を提案してくれ、デモンストレーションで実際に見せてくれました。ペンの新しい使い方だったり、モノプリントのやり方だったり…
全員これをやりなさいと強制するのではなく、「表現方法のバリエーション」として教えてくれる、新しいツールを紹介してくれる、というスタイルでした。
この画材はそこにいくつかあるから、試してみるといいよ。という感じです。
もちろん!
生徒は新しいものにはワクワクするので、教えてもらったものは試してみる人が大半です。
デモの後はそれぞれ好きなようにどんどん試してあっという間にクラスの時間は過ぎていきました。表現のツールは同じでも、なにを描くかはそれぞれ好きなように。
新しく覚えた表現ツールをメインで使う人もいれば、一部だけに使う人もいました。クラスが終わるころには、同じインプットが多様にアウトプットされている。ちがいが目に見えて分かりやすく、おもしろかったです。受け取り方、取り入れ方のちがいを見比べるのも、また楽しい時間でした。
なかには、先生のデモンストレーションは「ふむふむ」となんとなく見るだけで、その場でやらない人もいます。個別で進めている作品を持ち込んで、マイペースに制作するのもOKでした。
じゃあ、その人はなんのためにクラスに通っているの?と思われるかもしれませんが、その人は制作に集中できる環境、心地よいスペースやみんなでシェアできる道具、先生からのアドバイスが欲しくて通っているのです。
途中経過を見せながら他者のアドバイスをもらい、また自分で手を加えて見てもらう。という機会は、実はとても貴重なのだと、大人になった今ではよく分かります。
これは特定のコミュニティに居て、かつ、相手がじっくり向き合ってくれないと得られない機会だったのでしょう。
・・・
このように、ロンドン芸術大学の個性豊かな先生のさまざまなアートクラスに参加することで、先生たちのそれぞれの対応・スタイル・進め方、他の生徒達のふるまい、クラスの自由な空気感を肌で感じつづけ、わたしは自分の中のなにかがひとつ軽くなったような気がしました。
得たものはきっと、「こんなに自分のやりたいことを自分で選んでいいんだ」という自由な心持ち。
この感覚をこれからも大事にしていきたい。忘れたくないな。と、帰国するときに強く思いました。
と同時に、「この自由で心が伸びていくような感覚を、つくることが大好きだったこどもの頃に感じてみたかった」とも思ったのです。
これが、こども向けのアトリエをオープンしたい!と思い至った、わたしの出発点になります。
こども絵画・工作教室 アトリエ ユモレスクでも大切にしたいこと
アトリエ ユモレスクのベースになっているのは、わたし自身がロンドンのアートクラスで体験した、自分の「やってみたい」という感覚を大事にすることです。
どうしたらこども達それぞれの「やってみたい」が大事にされるだろうか?
自分の時はどうしたら自由に「やってみたい」を表に出せただろうか?と考えたとき、この3つがポイントだと思いました。
新しい表現方法やツールを “紹介される” という形で「やってみたい」に出会うきっかけがあること。
画材や道具にすぐに手を伸ばせたり、質問ができたり、「やってみたい」を後押ししてくれる環境があること。
「やってみたい」と感じるか否か、感性のちがいも受け入れてくれること。
この3つは、これからスタートするアトリエ ユモレスクでも大切にしていきたいことです。
「おもしろいかも」「これ好きかも」に出会うきっかけとして、いろんな表現方法を紹介していきます。
そして、こども達それぞれの「やってみたい」という気持ちを大切に、やってみるためのサポートをしていきます。
少し格好つけて言ってみるとですね、 inspire + encourage + joy = アトリエ ユモレスクと言い換えられる、それほど大事にしている、ベースとなる考え方です。
こども向けの絵画教室、工作・造形教室というのは、方針やスタイル、課題の有無など様々な形がありますが、アトリエ ユモレスクの目指す形はこのようなイメージです。上手くお伝えできていれば幸いです。
そしてもうひとつ。
わたしがイギリス留学中に体験し、アトリエ ユモレスクでも取り入れたいと思っている大事なことがあります。
ここまでとても長くなってしまいましたので、そちらはまた次回としましょう!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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